LIFE STYLEは、リコー社が提供する360°の画像データを活用して、画像を使ったプロモーションのリッチ化や業務効率化実現するクラウドサービス「THETA 360.biz」の新規事業立ち上げにおける、「営業戦略の策定」「営業プロセスの構築」「営業活動」のご支援をしています。
 
今回は株式会社リコー 執行役員 Smart Vision事業本部 大谷事業本部長に、弊社代表取締役の永田がインタビューをさせていただきました。
 
なぜリコーがデジタルサービスに挑戦するのか、新規事業チームのあり方、新規事業立ち上げにおける外部リソースの活用方法など、これから新規事業を立ち上げる方や新規事業に課題を感じている方は必見です。
 

「モノ消費」から「コト消費」へ、デジタルサービスの挑戦は必然だった

▽永田 雅裕(以下、永田)
本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、大谷さんはこれまでリコー社の中で15年以上も新規事業の立ち上げに従事されていますが、なぜ「THETA 360.biz」のようなデジタルサービスへ挑戦する必要があったのでしょうか?
 

株式会社リコー Smart Vision事業本部 大谷事業本部長
 
大谷 渉 氏:(以下、大谷)
これまで私はハードウェアを中心に多くの新規事業を立ち上げました。ハードウェアの世界で生きるとなると、ニッチで特殊な製品で勝負するか、大量生産してコストで勝負するかの二極化になります。また、ユーザーの消費行為も「モノ」としてどうかよりも何を提供してくれるのか?という「コト」にシフトしているのを感じました。
 
これらの背景からデジタルサービスになっていくことは必然で、ハード単体や売り切りのビジネスモデルから顧客と繋がることができるサービスへの転換をしていかないと生きていけないと考えたからです。
 
永田:
2013年に360°カメラ「RICOH THETA」を発売されました。THETA 360.bizはRICOH THETAで撮影した360°画像のデータを活用するサービスですが、ハードウェアの販売からデジタルサービスへシフトしていくことは当初から想定されていたのでしょうか?
 
大谷:
RICOH THETAはカメラ事業として企画したので、リコーが持つ光学技術などを応用した新しい価値の提供という目的が強かったです。ただ、360°画像のデータを使ったデジタルサービスの展開を意識はしていました。
 
永田:
THETA 360.bizはSaaS型のビジネスモデルになりますが、どういうきっかけでサービスが生まれたのでしょうか?
 
大谷:
きっかけはAWS(Amazon Web Services)の研究でした。2012年にAWSは売上がAmazon全体の1/10程度だったのに対して、利益をすごく稼いでいるという情報がありました。そこからAWSのビジネスモデルを研究し、このビジネスモデルを自分たちのサービスにも転用できないかを検討しました。
 
永田:
自らSaaS型のビジネスを始めるにあたり、何か課題はありましたか?
 
大谷:
課題はたくさんありましたが、大きく分けると2つです。まず1つ目がどういうシステムであるべきなのかがよく分かっていないことでした。クラウドを介してサービスを提供するというビジネスモデルは注目を浴びていましたが、自社で企画や開発をしたことがなかったので、システムとしてどうあるべきなのか、どういう風に作っていくべきなのかノウハウが全くありませんでした。
 
そして2つ目が売り方です。システムが作れたとしても従来の売り方とは全然違ったので、どうやって売れば良いのかが分かりませんでした。今でこそクラウドサービスが当たり前になっていますが、2012年はまだオンプレミスが主流でセキュリティも含めクラウドサービスに対する市場の理解も低かったです。
 
永田:
リコーとしてサブスクリプションモデルのビジネスも、THETA 360.bizが初めてだったのでしょうか?
 
大谷:
これまでも複写機をお客様に導入していただき、リカーリングで毎月料金をいただくという意味ではサブスクリプションという契約モデルだと考えています。しかし、クラウドを介した具体的なモノがないソフトウェアのサービスはこれまでありませんでした。
 
永田:
SaaS型のビジネスにチャレンジする中で経営層やメンバーなど社内の理解はいかがでしたか?
 
大谷:
これはリコーだけでなく、製品事業をやっている会社はどこも難しいと考えています。製品事業はモノを提供して対価をいただくビジネスなので、ソフトウェアを提供して対価をいただくというビジネスモデルに最初はピンと来なくてもしょうがないです。
 
当時はソフトウェアに対する理解の違いから経営会議で議論になることも多かったです。ビジネスモデルを正しく理解できていないと、「AmazonやGoogleと戦うのか」と言われてしまうこともありました。しかし、世の中がソフトウェアに移行し、フレームワークなども出来ているので理解が進んできています。
 

新規事業の「不確実性」に適応するには、チームとして課題を共有するプロセスが重要


 
永田:
続いて、弊社との取り組みや新規事業における外部リソースの活用についてお話をお聞かせ下さい。
 
新規事業の立ち上げで、開発や営業代行など一部の機能を外部の企業に依頼することは珍しくありませんが、なぜチームとして外部企業と一緒に働くことを選ばれたのですか?
 
大谷:
これは「不確実性」が故の選択でした。これまで新規事業を立ち上げるときにコンサルティングファームや営業代行会社など色んな企業と取り組みをしてきました。その中で外部企業と一緒に仕事をするときに重要なのは「定義」だと感じました。それぞれ何をするのか仕事の定義が定まっていないと成果が生まれません。しっかり業務範囲を区分けして、「こういうことをあなたに期待します」と言えることが重要です。
 
一方で、新規事業は業務範囲と定義が曖昧です。何を定義して、どうやってアクションするのかが日々変化していくので、新規事業を立ち上げるには、一緒のチームで日々の活動から課題を共有するプロセスが重要だと考えました。そもそも新規事業は計画通りにならないので、業務を切り出して「そこだけやってください」は機能しません。
 
永田:
既存事業であればプロセスが明確になっているので分業体制が取りやすいですが、新規事業はそのプロセスを作る段階なので定義は難しいですね。
 
大谷:
既存事業になってしまえば、会社の中もしっかりと分業体制になっているので、自分たちでやるよりも外部企業にやってもらった方が良い業務が明確になります。新規事業の場合は、そこで起こる問題を1つのチームが一気通貫で対応し、解決までのプロセスを構築するべきだと考えています。
 
永田:
課題に対するアプローチという点では、コンサルティングファームとの違いはどこにあったのでしょうか?
 
大谷:
やはりコンサルティングファームと一緒に仕事をするときも、私たちが何を期待しているのかをクリアに定義できないといけません。課題が明確であったり、明確にすべき課題が明確なときはコンサルティングファームは有効な手段だと考えています。
 
新規事業の場合は課題がたくさんありますが、その課題に取り組んでいくとその通りいかなかったり、その課題の重要度や優先度も変わります。そういった変化に対応できる関係性でないとお互いに気持ちよく仕事ができないですね。
 
永田:
なぜ一緒に新規事業を立ち上げるチームメンバーとしてLIFE STYLEを選ばれたのでしょうか?
 
大谷:
LIFE STYLEに期待していたことは、「営業力」と「営業プロセスの構築」でした。私は必ず一緒に仕事をするメンバーを決めるときは現場に行くようにしているので、LIFE STYLEのオフィスも訪問しました。その時に、提供しているサービスの営業プロセスを落とし込み、実行をしているチームを見させてもらいました。
 
THETA 360.bizのチームにLIFE STYLEが入る前は、1件1件営業してみて何となく「こうやったら売れるな」というのが分かってきた状態で、サービスとして拡大していくためには、営業プロセスを整備しなければいけないタイミングでした。
 
リコーは営業組織が強い会社なので、これまで新しいサービスは自社や販売会社で営業活動をしてきました。しかし、SaaS型のビジネスモデルやデジタルサービスは未経験の領域だったため、Googleストリートビューなどでデジタルサービスの営業プロセスを構築した実績のあるLIFE STYLEと一緒にやろうと決めました。
 
永田:
LIFE STYLEがメンバーとしてプロジェクトに入って3年目になりますが、この2年間でどのような成果がありましたか?
 
大谷:
当初から期待していた営業プロセスが整備されました。営業プロセス毎の数字がきちんと把握できるようになったこと、それぞれの活動がどのように結果に結びついているのかが可視化できるようになりました。
 
また、2年前と比べると売り方やプライス、ターゲット企業なども変化していきました。最初はエンタープライズ中心に販売していたので、純粋なサブスクリプションモデルというよりは各社毎にカスタマイズして従量課金にするようなビジネスモデルでした。この2年間で営業プロセスを構築し、SMBへの展開を進めたことによって数社の売上に依存するビジネスモデルの脱却に成功しました。
 
永田:
この成功体験を経て社内メンバーにも変化を感じますでしょうか?
 
大谷:
この2年間でリコーの社内メンバーも含めチームとして大きく成長したと感じています。私は少年野球の監督を10年以上やっていた経験もあって、新規事業のチームはスポーツと同じだと考えています。
 
それは”強いチームは勝つから強くなる”ということ。チームワークやONE TEAMっていう言葉がありますが、勝つからONE TEAMになるのであって、最初にONE TEAMがあって勝つことはありません。試合は勝っていかないと強いチームにならないし、ONE TEAMにならないということです。最近では、これまで積み上げてきたものが成果に結びついて勝ち始めたので、チームが加速的に強くなっています。
 
永田:
ビジネスにおいては、結果を出し続けるからこそ強いチームになるということですね。
 
大谷:
小さくてもいいので成功体験を積み上げることが重要です。ずっと負け続けているチームに成長はありません。そこでONE TEAMと言ってもそれは仲良しチームでしかありません。こういった理由から新規事業を立ち上げるときのメンバーは目的に対して真摯である人間を選ぶ必要があると考えています。
 
勝つために誰をバスに乗せるのか。そこには社内・社外は関係ありません。事業として戦っていくために誰と一緒にやるのかが一番重要だと考えています。
 

日本の強みを活かした「モノづくり × SaaS」でグローバルに挑戦する


 
永田:
ありがとうございます。事業としてもチームとしても成長を続ける中で、より大きな挑戦が可能になってきていると感じました。今後の展開で考えられていることはありますか?
 
大谷:
360°画像データを活用したグローバルサービスにできるチャンスだと捉えています。SaaS型のビジネスモデルは、ローカルかつバーティカルに展開するサービスとプラットフォーム的に展開するサービスがあります。この2つは全く性質が異なりますが、私はプラットフォーム的に提供するビジネスにチャレンジしていきたいと考えています。
 
理由は、日本企業が海外企業と比較するとプラットフォーム的なサービスは全負けしていると感じているからです。唯一、日本企業で戦えていたのがPlayStationのゲームプラットフォームでしたが、今はスマートフォンに侵食されています。
 
リコーとしてデジタルサービスに注力していますが、ローカルなビジネスに特化しています。それぞれが重要なビジネスではあるものの、効率は良くありません。GoogleやMicrosoft、Salesforceのように同一のサービスを全世界にプラットフォームとして提供している企業は非常に大きな収益を上げています。私たちが提供する360°画像データを使ったビジネスは、そこに手がかけられる可能性があると考えています。
 
永田:
日本企業のSaaS型ビジネスモデルにおけるグローバル展開の成功事例だけではなく、モノづくりが強みであるメーカー企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)としても代表事例になりますね。
 
大谷:
今はRICOH THETAというハードウェアとサービスが上手くリンクしています。ソフトウェアだけで勝負をするとアメリカや中国は新しい技術に対してもの凄い投資を行い、オープンソースで全て出してしまうので、一企業で研究開発しているだけでは負けてしまいます。
 
日本企業はモノづくりが得意です。持ち味を活かし日本独自の差別化をしていくために、ハードウェアと結びついたサービス展開に可能性を感じています。
 
永田:
私たちも一緒に事業を取り組ませていただいている中で、まさにモノづくり × SaaSのビジネスモデルに勝ち筋を感じています。これはリコー社のみならず、日本企業のグローバル展開におけるロールモデルになり得るので実現させたいですね。
 
本日は貴重なお話をありがとうございました。
 


 

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